お金を借りるテクニックが必要!美容室開業における資金計画の考え方とは?!
資金計画は、事業計画を構成する3要素(収支・資金・予算)の1つです。
資金計画の考え方を解説する前に、まず美容室開業の事業計画について簡単に説明します。
美容室開業の事業計画 = 作戦を練ること
事業計画とは?
事業計画とは、美容室開業に必要な3つの要素を考えバランスを取りながら進めていく計画のことです。
3つの要素とは?
- 収支計画
- 資金計画
- 実行予算計画
収支計画・資金計画・実行予算計画を分かりやすい言葉に置き換えるとこうなります。
- 収支計画➡いくら稼ぐのか?
- 資金計画➡いくら用意できるのか?
- 実行予算計画➡いくら必要なのか?
いくら稼ぐのか?
1ヶ月の売上-1ヶ月の経費
いくら用意できるのか?
自己資金+出資金+融資
いくら必要なのか?
不動産+運転資金+店舗工事費+備品+その他
店舗の工事費用だけで開業できる?と思っている人がとても多いので注意してください。
事業計画はいつまでに作ればいいのか?
事業計画は、不動産契約をする前に8割程度まで作る必要があります。
なぜなら美容室開業の命運を決めるポイントが不動産契約だからです。
不動産契約というカウントダウンのスイッチを押したら途中で止めることができません。
不動産契約までにすること
- STEP01開業を決意
作戦を練る期間
(時間とお金の行動計画)- 事業計画
- 家族の同意
- 不動産探し
- 資金計画
- 不動産契約が美容室開業へのカウントダウンのスイッチ
- 不動産契約をする前に事業計画の8割まで作り上げる必要がある
- STEP02不動産契約
借入準備
- 不動産屋と大事な交渉
- 借入申請用書類用意
- 不動産契約を借入の内定まで待ってもらう交渉をする
- カラ家賃の発生を防いで資金の流出を防ぐため
資金計画とは?
資金計画とは、美容室開業するために「いくら用意できるのか?」を考えることです。
- 自己資金(自分で貯めたお金)
- 出資金(親族)
- 日本政策金融公庫
- 銀行融資
いくら用意できるのか分かっていなければ、どこまでお金を使っていいのか分かりません。
実は日本政策金融公庫と銀行融資を二つ同時にお金を借りることができます。
借りるタイミングとお金を借りるテクニックが必要ですが可能です。
創業融資とは?
創業融資は、創業時の1度きりのチャンスとして1,000万円までの高額融資が可能になります。(担保、保証人不要の場合)
自己資金:100万円
親からの援助:200万円
日本政策金融公庫:1,000万円
銀行融資:1,000万円
仮に自己資金100万円しかなかったとしても1,000万円の融資を得られるのが創業融資です。
そして創業融資を使えるのが創業時の一回きりです。
資金計画の目的
美容室開業における資金計画の目的とは、自分が調達可能な上限枠を把握することです。
個人開業の場合、借入に限度額があります。
絶対ではないですが、開業総額2,500万円以上というのは現実的でないと考えられます。
資金計画のリアルな考え方
美容室開業で集められる資金で健全な資金調達手段は以下の4つです。
- 自己資金
- 出資金(親族、などからの援助)
- 日本政策金融公庫
- 銀行融資
開業に必要な総額予算 ≦ 自分が集められる額面の上限額
資金計画は、残念なことに技術・キャリア・センス・指名売上などは無関係です。
資金調達能力の限界額以上の開業計画は不可能ということです。
自己資金について
自己資金は、開業のために貯めてきたお金です。
よくあるケースが、自己資金が少ないからと言ってお金をできるだけ借りないで小さく始めることです。
後で必要ならまた借りればいいと思っても融資機関はもうお金を貸してくれません。
なぜなら売上データがあるので黒字ならリスクのない現状維持をおすすめされます。
そして赤字ならそもそも貸してくれません。
担保、保証人不要で1,000万円まで貸してくれるチャンスは創業時だけなのです。
自己資金が少ないからと言って、借りる額面をなるべく少なく抑えようとしないことをおすすめします。
出資金(投資、援助)について
出資金(投資、援助)は、以下の2つです。
- 両親、兄弟、事業パートナーからの援助
- 事業計画賛同者などからの出資
実は、創業融資でお金を借りやすいのが自己資金と出資金が両方ともある状態です。
自力で自己資金を貯めてきた人の方が優秀だと思われがちですが、実は必ずしもそうとは限らないです。
融資機関側は、出資金を合わせた合計額を開業者の自己資金としてみなす傾向があります。
出資金は、美容室開業者に対する信頼の証です。
逆に出資金が無いということは他人の協力者がいないと判断されてしまうのです。
日本政策金融公庫について
以前の日本政策金融公庫の創業融資は、自己資金が三分の一以上ないと希望の金額を借りられませんでした。
現在は、自己資金の10倍まで貸してくれるようですが、実際は1,000万円までです。
日本政策金融公庫の金利は約2%~3%です。
返済期間は約5年~10年です。
- 創業融資の中で最も一般的で借りやすい
- 国の融資機関
- 面識がなくても対応してくれる
- 一見様でもOK
- 全国都道府県どこでも同じ方法で審査
- 審査も貸すのも日本政策金融公庫
- 審査が通れば先に送金してくれる
- 審査~内定~着金までがとてもスムーズ
銀行融資(信用保証協会付融資)について
銀行融資は、それぞれの店舗によって事情が異なります。
例えば、「鈴木銀行A支店は貸してくれるけど、鈴木銀行B支店は貸してくれない」ということです。
市役所、区役所、商工会議所に事前に相談しにいくと市町村によって様々な優遇制度がある場合があります。
個人事業主として開業する場合、都市銀行は相手にしてくれません。
出店地に近い場所にある信用金庫か地方銀行がおすすめです。
銀行は、基本的にいちげん様お断りなので何らかのつながりが必要です。
すでに取引がある方や親に取引関係があると融資してくれる可能性が高まります。
銀行の金利は約0.5%~3%です。
返済期間は約5年~10年です。
- 面倒な手続きが多く時間がかかる
- 民間の金融機関
- 取引が無いと対応しない
- 一見様お断り
- 創業の場合に審査機関が別
- 審査は信用保証協会、貸すのが銀行
- 審査が通って工事完完了後に送金
- 営業許可書が無いと送金しない
- 審査~内定~着金まで超面倒くさい
資金計画のモデルケース
開業予定の美容室(参考例)
- 店舗面積:15坪
- フロア:セット面3席、シャンプーブース2台
- 従業員数:アシスタント1名
- 営業時間:9:00~18:00
現在のお給料(仮):25万円
資金計画(仮):1650万円
いくら用意できるのか?
資金計画(参考例)
- 自己資金
150万円 - 出資金(投資、援助)
200万円 - 日本政策金融公庫
800万円 - 銀行融資
500万円 - リース
0円
資金調達が可能な限界=1,650万円
日本政策金融公庫の返済は、84回払いの月々11.5万円と仮定してます。
銀行融資の返済は、60回払いの月々9.5万円と仮定してます。
収支計画で必要な支払い回数や金額までシュミレーションしておくとより事業計画の精度が高まります。
リースやクレジットを開業資金の調達手段として考えるのは要注意です。
リース・クレジットの危険性について
リース・クレジットは融資ではありません。
融資機関ではないので当然、融資窓口など存在しません。
そのため美容室の場合、ホームページ作成や予約システム、シャンプー台などを販売する会社がリースやクレジット会社を紹介してきます。
リース・クレジット会社が提示する金利(2~3%)は、公的融資とはまるで異なる金利計算方法なので実際にはやたら高い設定です。
通常の計算法と置き換えると8%~13%の高金利なのです。
リースの場合、契約時の回数を支払い終えても延長ということでさらに支払いが続いていくきます。
契約満了後も自分の持ち物にはならない理由は、所有者がリース会社だからです。
自分のモノじゃないので、もし途中でお店を閉めても全て持っていかれてしまうのです。
リースの審査は、クレジットカードの信用調査程度なのでとても通りやすいです。
公的融資の審査基準と異なり収支計画など一切チェックしない理由は、販売できれば採算などどうでもいいからです。
まとめ
資金計画とは、美容室開業するために「いくら用意できるのか?」を考えることです。
実行予算計画とのバランスも合わせて考えてください。
用意できる額(資金計画) ≧ 必要な資金(実行予算)
資金計画の限界額以上の開業計画は不可能です。
そして資金計画において、今までのサロン技術、経験、人気などは残念ながら無関係です。
それよりも必要なのがお金を借りるテクニックです。
実際にお金を借りるときには、事業計画書を作り込み面接を通過しなければ創業融資を勝ち取ることができません。
その事前準備として、この資金計画についてしっかりと理解しておきましょう。
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