経理・会計・税務とは?!美容室開業したら絶対に必要なお金のノウハウ
美容師はサービス業であり、技術職でもありますから、経理・会計・税務について苦手な方が多いです。
美容室を経営していてもお金をずさんに管理している人がいます。
美容室をオープンしたその日から経営者としてのスキルも磨いていかなくてはなりません。
慎重な判断と確実な経営を実践していくために必要なお金のノウハウをご紹介します。
個人事業主と会社(法人)の税金のかかり方の違い
個人事業主と会社(法人)の税金のかかり方は違います。
経営者として必ず知っておくべき項目ですので、この機会にしっかりと理解しましょう。
個人事業主の税金のかかり方
売上とは、施術・店販・その他からの入金のことです。
入金(売上)
- 例:2,400万円の売上(月間166万円)
出金(経費)
- 例:400万円の経費
純利益
- 例:2,000万円(自分の給与)
経費とは、家賃・従業員給与・光熱費・返済・その他からの出金のことです。
個人事業主の場合、経費に自分の給与は含まないです。
個人事業主の税金の考え方
この例では、売上2,400万円から経費400万円を引いた純利益2,000万円が自分の給与となります。
例:個人事業主の税金のかかり方
- 純利益2000万円に対して所得税
- 所得税(約40%)➡約-445万円
- 約1,555万円の手取り報酬
所得税は、純利益2000万円にかかるので税額は445万円となります。
会社(法人)の税金のかかり方
売上とは、施術・店販・その他からの入金のことです。
入金(売上)
- 例:2,400万円の売上
出金(経費)+自分の給与
- 例:2,380万円の経費
純利益
- 例:20万円(法人収益)
経費とは、家賃・従業員給与・光熱費・返済・その他からの出金のことです。
会社(法人)の場合、経費に自分の給与も含みます。
会社(法人)の税金の考え方
この例では、売上2,400万円から経費と自分の給与を合わせた2380万円を引いた純利益20万円が法人収益となります。
例:会社(法人)の税金のかかり方
【法人】
- 純利益20万円に対して法人税
- 法人税他 ➡ 7~8万円
【個人】
- 自分の給与2,000万円に対して所得税
- 所得税(約40%)➡約-445万円
- 約1,555万円の手取り報酬
【税金合計】
- 法人税+所得税 ➡ 約463万円
会社(法人)の場合、純利益20万円に法人税がかかります。
さらに所得税は、自分の給与2000万円にかかるので税額は445万円となります。
法人税と所得税を合わせた約463万円が税金の総額です。
会社の場合、【法人】と【個人】の両方に税金がかかります。
会社(法人)の方が損をするのか?
ここで紹介した例だと、個人事業主よりも会社作って社長になった方が損をしているように感じると思います。
しかし世の中にいる社長の多くは給与ではなく経費扱いでもらっているだけでそんなことはありません。
これは社長だけの特権です。
例えば年収800万円だけど、経費で+1200万円もらっているなんてことも。
ここがまさにグレーゾーンですが、合法的な節税対策なのです。
個人事業主と法人の報酬の違い
こちらもぜひ覚えておいてください。
個人事業主
- 毎月報酬額が増減する
- 1年間(12ヶ月)の集計で確定申告
- 年間総利益÷12=月収となる
法人の場合
- 毎年(毎期)最初に1年間の給与を決める
- 途中で変更することが出来ない
経理・会計・税務については、必要なさそうでも覚えておくべきことがたくさんあります。
なぜならこれからご紹介する節税テクニックなどを理解するために必要だからです。
合法的な節税対策について
先ほど説明した会社(法人)の税金のかかり方の例では、説明しやすくするために経費と給与の数字を一緒にしていました。
これから説明する会社(法人)の税金のかかり方(節税する場合)の例では、給与800万円と経費1,580万円に設定して説明します。
経費を上手く扱うことで税金のかかり方が変わることを理解できます。
会社(法人)の税金のかかり方(節税する場合)
入金(売上)
- 例:2,400万円の売上
出金(経費)+自分の給与
- 例:経費1,580万円+給与800万円
純利益
- 例:20万円(法人収益)
ここでは自分の給与を800万円(月66万円)に設定します。
会社(法人)の税金の考え方(節税する場合)
この例では、売上2,400万円から経費1,580万円と自分の給与800万円を引いた純利益20万円が法人収益となります。
例:会社(法人)の税金のかかり方(節税する場合)
【法人】
- 純利益20万円に対して法人税
- 法人税他 ➡ 7~8万円
【個人】
- 自分の給与800万円に対して所得税
- 所得税(約33%)➡約-264万円
- 約536万円の手取り報酬となる
【税金合計】
- 法人税+所得税 ➡ 約272万円
会社(法人)の税金の考え方(節税しない場合)
ここで最初に説明した会社(法人)の税金の考え方の税金のかかり方をおさらいします。
節税する場合との違いが分かりにくいのでしっかりと見て下さいね。
例:会社(法人)の税金のかかり方(節税しないバージョン)
【法人】
- 純利益20万円に対して法人税
- 法人税他 ➡ 7~8万円
【個人】
- 自分の給与2,000万円に対して所得税
- 所得税(約40%)➡約-445万円
- 約1,555万円の手取り報酬となる
【税金合計】
- 法人税+所得税 ➡ 約463万円
節税の結果(例)
この記事では分かりやすく説明するための数字を設定しています。
ツッコミどころはありますが、あくまでも節税の考え方として参考にして下さい。
節税しない場合
- 給与:2,000万円(月166万円)
- 所得税(約40%)➡約-445万円
- 約1,555万円手取り
- 税金の合計463万円
節税する場合
- 給与:800万円(月66万円)
- 所得税(33%)➡約-264万円
- 約536万円手取り
- 税金の合計272万円
節税する場合、税額が191万円少なくなる
節税すると所得税の税率も変わり、支払う税金の額が191万円も少なくなります。
節税の考え方
節税の考え方は、給与と経費の境目を上手くコントロールすることです。
経費の項目
- 社員研修接待
- 講習費
- 福利厚生
- ボーナス
もちろん脱税と言われるような違法な節税をしてはいけません。
しかし経費で落せる項目でしたら、しっかりと計上して節税することは違法ではありません。
個人事業主と法人の経理的な周期の違い
個人事業主と法人は、経理的な周期に違いがあります。
- 毎年1月~12月の周期
- 1~12月の集計を翌年3月15日に確定申告
- 希望次第で決算月を決められる
- 決算月を含む12ヶ月分を翌月末日までに確定申告
美容室開業したら最初から法人ではダメなのか?
結論から伝えると最初は個人事業主から始めるべきです。
なぜなら消費税を支払う業者となる時期が早まるからです。
そもそも売上が1,000万円以下なら消費税の納税は不要です。
個人事業主も新設法人も設立2年間は消費税が免除されますが、3年目から支払う必要があります。
法人の場合、スタートと同時に社会保険と厚生年金を始めなければなりません。
社会保険と厚生年金は高額な支払いとなるため、まだ軌道に乗らない開業初年度~2年度辺りは苦しい経営になりやすいです。
法人化するタイミングは?
あくまでも目安ですが、年間売上が1000万円を大きく超えそうと判断できた時に検討するべきタイミングです。
ただ、この判断はどんなに勉強しても素人では非常に難しいです。
- 個人事業主より法人化した方が節税につながる
- 今後の事業展開上、そろそろ法人化した方が有利
- 従業員雇用に際し必要性がある
様々な理由があるので一概に言えない
法人化するタイミングは、人それぞれ経営状態や事情も違うので会計士、税理士のアドバイスが必要です。
税理士と会計士の違い
税理士と会計士の違いについて説明します。
税理士にできる仕事
毎月の顧問契約
- 毎月の入出金記帳代行
- 経営指導アドバイス
決算時確定申告
- 確定申告書式作成
- 申告代行
会計士にできる仕事
毎月の顧問契約
- 毎月の入出金記帳代行
- 経営指導アドバイス
決算時確定申告
- 会計士にできない項目なので税理士さんに頼む必要あり
具体的な料金のイメージ
例えば、月3万円の顧問契約をすると決算時確定申告(月3万円×6ヶ月分)と合わせて合計54万円かかります。
毎月の顧問契約
- 月3万円×12ヶ月=36万円
毎月の顧問契約は、税理士でも会計士でもお願いできます。
決算時確定申告
- 決算期にまとめて支払う
- 月3万×6ヶ月分=18万円
決算時確定申告は、税理士だけしかできません。
税理士と会計士どちらにお願いする方がいいのか?
日々の会計は会計士、年度末の申告は税理士、にそれぞれ別々にお願いすることをおすすめします。
どちらを選んでも間違いではありませんが、それぞれの特徴を知っておきましょう。
税理士の特徴
- 毎年の確定申告時の決算報告書作成
(正確にはハンコのみ?) - 基本的に税務署びいきの人達
- 致命的なこと ➡ 経営経験がない
- 税理士さんは不正や怪しい点が無いかをチェックする人
会計士の特徴
- 日々の入出金出納長作成のアドバイス
- 経営に精通している人もいる
- 色々な要望を聞いてくれる
- 日々の会計帳を一緒に作成することを手伝ってもらう
- 決算時に会計士と作った書式を税理士さんに渡してチェックしてもらう
この記事では節税対策に詳しいのは会計士の方だと考えています。
しかし税理士も会計士も人によって特徴が変わるので、自分に合う方を探して選びましょう。
減価償却・資産計上とは?
美容室開業時には、工事費、美容機器など総額1,000万円以上の経費を使うことが多いです。
これら全ての出費はもちろん経費の対象となるが、設備、物品、機器類は全て減価償却の対象として資産計上しなければなりません。
減価償却とは?
減価償却資産は、使用可能期間にわたって分割して購入費用を計上する必要があります。
そのため美容室開業の使った全ての出費を開業翌年に一気に経費で落せません。
減価償却資産の例
- パソコン ➡ 5年間で経費で落としてOK
- セット椅子 ➡ 10年間で経費で落してOK
- エアコン ➡ 10年間で経費で落してもOK
減価償却とは、固定資産の購入費用を使用可能期間にわたって、分割して費用計上する会計処理のことです。
資産計上とは?
資産計上とは、資産が会社で使用を開始され、減価償却の対象となることです。
資産は計上されるまで減価償却を行うことはできません。
購入した物品ごとの償却期間を確認して、開業初年度の確定申告時に登録申請する必要があります。
資産計上が正しくできていないと節税できなくなってしまうため、開業初年度の資産計上は必ず税理士や会計士にお願いしましょう。
毎年、年度末の集計時に利益が大きければ、減価償却資産の経費を多めにします。
逆に利益が出ていないようならその年は経費として落とさないようにします。
減価償却と資産計上を正しく理解することで節税が可能になります。
減価償却的にリースは有利なのか?
美容室開業を進めていくとリースをおすすめされることがあります。
その時に「リースの方が経理的に(減価償却的に)有利です」と言われることがあります。
この言葉に騙されないで下さい。
リースは高金利で短い期間での出費となるので有利と全く言えません。
リースを勧める人は商品を売りたい人であると思って下さい。
「減価償却だと10年で償却するべきところが、リースなら5年で償却できるから有利です」などと言われても自分で判断できる知識を付けましょう。
税理士や会計士の予算がない場合
税理士や会計士の予算がない場合におすすめなのが、青色申告会です。
青色申告会とは?
経理に不慣れ個人事業主限定に、懇切丁寧に指導してくれる団体です。
もちろん資産計上も教えてくれて確定申告も一括代行で申告してもらうことができます。
しかもかかる費用は年会費1万円程度です。
しかし注意しなければならない点もあります。
個人事業主は全て1~12月期で翌年3月に確定申告するので、その時期は想像を絶する混雑ぶりです。
資産計上も確定申告も同時期に処理するため、雑な対応で後々困ることも多いです。
税理士と会計士の使い方について
何も知らない美容師は最初から税理士に顧問契約をお願いしてしまうことが多いです。
おすすめの税理士と会計士の使い方は、顧問契約ではなく、最初の初年度期間限定で単発依頼することです。
美容室開業したばかりの経営者1年生に、経理を教えてもらうことを目的にするのです。
最初からすべてやってもらうと経営者としての成長がありません。
素人ではとても対応できそうもない「資産計上」、「確定申告」だけは依頼してまず勉強することをおすすめします。
まとめ
美容室開業時には、工事費、美容機器など総額1,000万円以上の経費を使うことが多いです。
経費を上手く扱うことで税金のかかり方が変わることを理解しておくと節税対策をすることができます。
美容師はサービス業であり、技術職でもありますから、経理・会計・税務について苦手な方がとても多いです。
まずは素人ではとても対応できそうもない「資産計上」、「確定申告」だけは税理士や会計士に依頼してから勉強することをおすすめします。
慎重な判断と確実な経営を実践していくために必要なお金のノウハウを勉強しておくことは今後の経営者としてのスキルにもなります。
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